大切な人を亡くすことは、人生でも特に辛く悲しいことです。
遺された人は、心や身体にさまざまな影響を受けます。その中で、心の痛みを抱えながらも、再び自分らしさを大切にして生きていけるようになるまでには、 長い長いプロセスが必要です。
時には、感情が振り出しに戻ったり、死別による悲しみがひときわ強まる時期もあります。
命日反応、記念日反応とは
例えば、命日、亡くなられた本人や自身の誕生日、結婚記念日、クリスマス、父の日、母の日、子どもの日、連休や年末年始など家族が集う日、迎えるはずだった成人式、卒業式など。
身近な人を亡くした人が、亡くなった人との思い出や亡くなった時の出来事を、ひときわ感じる時期に、心身に不調をきたすことを、命日反応・記念日反応と言います。
命日反応・記念日反応とは
命日反応や記念日反応は、誰にでも起こり得る
気持ちが落ち込み、不安になったり、眠れなくなったり、体調が崩れるなどの症状が現れ、まるでその人が亡くなった直後のような深い悲しみに襲われることもあります。
一方で、いつもよりぼんやりして集中力を欠き、普段だったらしないようなミスや、思いがけず怪我をするようなことも起こります。
これらは、愛する人を亡くした方であれば、誰もに起こる自然な反応(グリーフ)と考えられています。
そして、ゆったりとリラックスし、誰かに話を聞いてもらったり、自分らしい時間を過ごすことで、ほとんどが自然に落ち着いていきます。
まず、命日反応や記念日反応が、誰にでも起こり得ることを知っておくことが大切です。
起こる反応に備えて、事前に心の準備ができるからです。
また、その日をやり過ごすための工夫について考えることもできます。
命日反応、記念日反応の主な症状
- 喪失感や悲しみが、ひときわ強まる
- フラッシュバック(再体験しているかのように思い出す)
- 自分の感情をコントロールできなくなる
- 衝動的に後追いを考える
- アルコールを過剰に使用する
- 過去のその日と同じ行動ができなくなる
- 自分のことをないがしろにする気持ちになる
- ぼんやりしたり、集中力が落ちる
命日反応、記念日反応の対処法

リラックスして、自分らしい時間を過ごすことが大切
大切な人の喪失から前を向いて歩けるようになるまでの過程は、ほとんどの人にとって長い道のりになります。
大切な人をどんな方法で思い返し、悼み、供養したいかを考えることが、どのように過ごすのかのヒントになるかもしれません。
どんな方法であれば、大切な人を思いながら、リラックスして、自分らしい時間を過ごせるでしょうか。
1.思い出の場所を訪問する
愛する人が最後に行った場所へ行く、愛する人との思い出の場所へ行く、行きたいと口にしていた場所に行く。愛する人の存在をとても近くに感じることができます。
2.手紙、ブログを書く
書くことは、思ったことや感じたことを表すと同時に、癒しでもあります。自分の気持ちを書いてもいいですし、愛する人へ宛てた手紙を書くことも効果があります。
人の脳は人生の全てを記憶しておけませんし、何を思うかは刻一刻と変化します。今この瞬間の気持ちを書き残しておくことはきっと、今と将来のあなたの支えになるように思います。
3.愛する人が好きだったことをする
思い出してみてください。一緒に過ごした日々の中で、大切な人は何をするのが好きでしたか。旅行、映画、ガーデニング、それとも料理をすること?
もし料理が好きな人だったなら、レシピを見ながら作ってみるのはいかがでしょうか。まるで一緒に作っているような、作ってみたよと話しかけられるような、そんな気持ちになるかもしれません。
4.花を飾る

大切な人が好きだった色の花、その人をイメージするような花、見たら喜びそうな花を飾ります。
フラワーセラピーという言葉があるように、花のよい香りをかぎ、美しいフラワーアレンジを見たとき、人はほっとします。
花には心を和らげてくれる癒しの力があるのです。
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5.アロマをたく
アロマテラピーは、植物から抽出した香り成分である精油(エッセンシャルオイル)を使って、心と身体のリラックスやリフレッシュを促します。
香りの感じ方や好みには個人差がありますが、もし心地良いと思える香りに出会えたとしたら幸せなこと。香りの効果を上手に使って、心のサポート役にしてみましょう。
6.写真、動画を見る
大切な人の写真や動画を見ることで、一緒に過ごした頃を思い返すことができます。
写真や動画の中でいつも通り笑っている姿を見ると、少し遠くへ出かけただけだったのかもと勘違いするほどです。
中には、途中で辛くなってしまう方もおられます。
あまりに辛い時は、少し時間が必要なのかもしれません。
無理をぜす、自分にあった方法で過ごすことが大切です。
7.音楽をかける
クラシック音楽や、自然界の波の音や鳥のさえずりなどの1/fゆらぎ音は、脳がリラックスした状態になるα波(アルファー波)が出やすく、癒し効果があると言われています。
お気に入りのヒーリングミュージックも、あなたをサポートしてくれるでしょう。
8.仕事に行く
仕事が支えになることがあります。
朝からずっと泣いていたとしても、涙をぬぐって職場へ行くと、仕事をしている間だけは、悲しみにオブラートがかかったように、業務に集中することもできるのです。
9. 仏壇、お墓へ行く
仏壇やお墓は、大切な人とあなたをつなぐ場所です。
姿は見えなくても、大切な人の存在がそこにあるのです。
辛い時、大切な人とのつながりを感じられれば、心の落ち着きを取り戻すことができるかもしれません。
10.悲しみを共有できる人と連絡を取る
あなたにとって、大切な人を失った悲しみを共有できる人は誰ですか。
離れているなら、電話やSNSなどオンラインで。この辛い日を何とかやり過ごした私たちを労おう、そんな一言でも構いません。悲しみを共有できる人がいる、そのことは私たちを強くします。
対処方法を考え、事前に備えておくことが大切
命日や記念日をどう過ごすかは、いつも遺族の心を悩ませます。
それでも、誰もが経験するこの命日反応や記念日反応がどのような症状なのかを知り、その日に備えておくこと。
そして、少しでも心が落ち着く自分自身のセルフケア方法を持っておくこと。
それらが、グリーフのこの長い道のりを支えてくれるのではないでしょうか。
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