グリーフの知恵

身近な人、大切な人を亡くした遺族へ掛けてはいけない言葉

2021年5月29日

身近な人、大切な人が亡くなった遺族と関わる時、どのように声を掛けたらいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。

一方で、遺族側からは、心無い言葉を掛けられたと傷ついた経験のある人も多くいらっしゃいます。

この記事では、大切な人を亡くした遺族へ掛けてはいけない言葉についてご紹介します。

上智大学グリーフケア研究所の著書「グリーフケアの時代」より、佐久間庸和さんによる遺族会「月あかりの会」11の心得を引用したい思います。

遺族と向き合い、寄り添って、あなたがそこにあるための方法のひとつになれば幸いです。

1. 励ましや激励

頑張って、もう少しの辛抱、早く元気になってください

遺族は、もうこれ以上頑張れないほど、十分に頑張っています。

張りつめた心で、日々をやり過ごすことさえ、精一杯の状態なのです。

その人がいつ、どんな風に、また自分の人生を歩いていけるかを知っているのはその人だけです。

本人以外の人が、無理やり元気づけたり、前向きに歩かせようとしても、無理なのです。

それは、悲しみと十分に向き合い、その人なりの喪の作業を行ってはじめてできることなのです。

2. 悲しみ比べ

貴方はまだいいほうですよ、もっと辛い人がいます。

例えば、流産や死産の経験者に「もっと辛い経験をしている人は世の中にたくさんいるからね。」と言ったり、

自死遺族に対して、難病や災害で亡くなった人と比べて「生きたくても生きられなかった人もいるのに。」と言ったり、

災害で家族を亡くした人に「みんな同じ目にあったんだから、あなただけが辛いんじゃない。」と言ったり。

これらは遺族の気持ちに対する無理解から発生する、大変つらい言葉です。

悲しみは、一人一人異なるものです。死別を経験した悲しみは、その人だけの気持ちなのです。

それなのに、他の誰かと悲しみを比べるようなことは、遺族を深く傷つけてしまうことがあります。

3. 自身や他人の体験談

〇〇さんは〇〇を始めてから元気になりました。

例えば、子どもを亡くした親が悲しみに暮れている時に、よかれと思って「私も去年親を亡くしてね、その時に立ち直れた方法は…」と語ったとしたら。

身近な人と死別した直後は、自分のことで精一杯です。

他の人の話なんて、耳に入って来ないのです。

むしろ、その体験談を聞くことによって傷つくことも多いのです。

すぐに、前向きになんてなれません。

あなたの体験談を一方的に聞かせても、遺族の気持ちが割り切れることはありません。

どれだけその人のためを思っていたとしても、自分の体験を押し付けないことが大切です。

4. 気休めの同意

お気持ちはよくわかります、時間がたてばよくなります。

「あなたの気持ちがよく分かります」、これはとても危険な言葉です。

特に、身近な人を亡くして、傷ついている人を前にした時には、十分注意する必要があります。

なぜなら、「あなたに何が分かるの」と、遺族の怒りを買う場合があるからです。

同じ人を亡くした家族同士であっても、気持ちは同じではありません。

特に、遺族会などで、近しい立場の人が集まる時、心に留めておいてください。

5. 回復の早さを褒める

あなたは強いですね、元気そうで安心しました

心がヒリヒリ焼けるような死別の辛さから、早く穏やかな生活に戻って欲しい。

周囲の人は、グリーフを抱える人に対して、そんな気持ちを持つかもしれません。

「元気そうで安心した」あなたには見えないだけで、その人が抱えている気持ちは程遠いかもしれません。

「あなたは強いですね」早く回復しなければならない、そう急かされるような気持ちになるかもしれません。

回復に掛かる時間は、人ぞれぞれです。回復が早ければ早いほど良い、とは言えません。

6. 性急に前進することを勧める

まだ若いんですから、忘れるのが一番です。

子どもを失った若い夫婦に「また産めばいい」、パートナーを失った人に「またいい人がいる」などは禁句です。

傷ついた人の心を、さらに傷つけてしまいます。

そんな先のこと、考えられないし、考えたくないんです。

遺族の悲しみを奪わないこと。

良かれと思って、早々にこの先のビジョンを持たせようとしないことが大切です。

7. なかなか立ち直れないことを指摘する

もう1年たったんだから、元気を出してください。

グリーフが時間だけが経てば良くなるというのは、誤った思い込みです。決して時間が解決するものではありません。

時間と、正しい知識、そして悲しみに向き合うこと(グリーフワーク)が必要なのです。

8. 実生活で大きな決断を迫る

納骨や遺品の整理をなさってはいかがですか。

死別を経験した後は特に、大きな判断は避けるようにしてください。

身近な人との死別後は、いわば、全身に大けがを負っている緊急事態です。

眼には見えなくても、普段の身体や心の状態ではないのです。

そんな中で、普段通りの判断ができるはずもなく、その判断を後になって後悔する可能性があります。

実生活での大きな決断は、先延ばしすることをおすすめします。

9. 自分の気持ちを優先する

私まで辛くなるから泣かないでください

あなたは、死別の悲しみを抱える本人に、早く涙をぬぐって欲しいと思うかもしれません。

ですがそれは、あなたがただただ、目の前の人の悲しむ姿を見たくない、そんな気持ちもあるのではないでしょうか。

あなたの気持ちではなく、目の前の本人の気持ちを優先してあげてください。

10. 死の意味を自分勝手に押し付ける

神様が決めたことです、成仏しました。

年老いて亡くなった人へ「大往生ですね」と声を掛けるのは、慎んだほうがいいかもしれません。

子どものようにかわいがっていたペットが事故で亡くなった人へ「寿命だったのよ」と声を掛けるのも、避けたほうがいいかもしれません。

遺族が、死について、どのように感じているのかどうかは、本人にしか分からないためです。

もし遺族が、もっとそばにいて欲しかった、あるいは、寿命なんかじゃないと思っていたら?

勝手に押し付けられた死の意味は、言葉のナイフとなって遺族を傷つけてしまいます。

11. 自分の考える喪の行事や方法を押し付ける

法事はこうしなければいけません、〇〇家の作法は~。

遺族に必要なもののひとつに、「喪」の作業があります。

それらは、悲しみに向き合うために必要なことですが、やり方を押し付けられるものであってはなりません。

「喪」は死者を悼むこと。目には見えなくても、心の中には確かに存在する、大切な人との関りを問い直す心の作業。

それは、その人の思いを、最大限尊重してはじめて、「喪」の作業となります。

まとめ

身近な人を亡くした人に関わる際に大切なことは、何を話すかではなく、どうあるか、あり方なのかもしれません。

遺族は、身体や心に大きな傷を負っています。そんな時、どんな言葉も届かない場合があります。

掛けるべきでない言葉を知った上で、ただそばにいて、寄り添う。

それが、周囲の人間に求められる、あり方なのかもしれません。

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