危険運転致死傷罪成立のきっかけ

危険運転致死傷罪は、遺族の強い働きかけにより成立した法律であることをご存じでしょうか。
危険運転致死傷罪の成立に影響したと言われる2つの事件がありました。
小池大橋飲酒運転事故
2000年の小池大橋飲酒運転事故。犯人は、お酒を飲み、無免許、無車検車、警察の検問を振り切り、猛スピードで逃走していました。小池大橋で歩道を歩いていた大学生2人が、その車にはねられ亡くなりました。
東名高速飲酒運転事故
前年1999年の東名高速飲酒運転事故。飲酒運転のトラックに追突された乗用車が大破炎上。同乗していた3歳と1歳の女児2人が亡くなりました。
悪質・危険な運転の厳罰化を求め、遺族が署名活動を展開
当時、それぞれの判決公判で言い渡された刑は、小池大橋飲酒運転事故がわずか5年半の懲役、東名高速飲酒運転事故がわずか4年の懲役でした。
刑法はもともと、自動車がない時代にできた古いものだったので、当時、交通犯罪を特別に罰する決まりなどなかったことが要因でした。
最初に立ち上がったのは、小池大橋飲酒運転事故の遺族でした。
「今の日本の法律は、人の命の重みを反映していない。法律を変えるしかない。」
遺族は、法改正を求める署名運動を始めました。
そして、趣旨に賛同する多くの仲間が署名活動に加わりました。
2年間で集まった署名は37万4,339名。遺族たちの声が、国を動かしました。
世論に後押しされる形で、2001年、最高刑を懲役15年とする危険運転致死傷罪が新たに作られたのです。
いのちのミュージアムによる「いのちのメッセージ展」
小池大橋飲酒運転事故で亡くなった大学生の母親である鈴木共子さんは、事故の翌年から、いのちの大切さを伝えるための活動に取り組まれています。いのちのメッセージ展です。
メインの展示は犠牲者一人ひとりの等身大の人型と彼らの遺品の「靴」。靴は彼らの生きた証の
象徴です。
人型には一人ひとりの素顔や遺された家族の綴ったメッセージが添えられています。
多くの人々が現実を知り生命の重さを考えてもらうために、日本全国、そして世界各地へと
巡回展をしています。
いのちのメッセージ展は、メッセンジャー(等身大の人型パネルとなった犯罪被害者)と一緒に全国どこにでも出かけて行き、命の大切さを伝えています。
北海道から沖縄まで全国各地で、いのちのメッセージ展が開催されています。
全国の刑務所や少年院での開催も
また、生命のメッセージ展は、犯罪被害者の視点を取り入れた教育の一環として、
2013年から法務省と提携し全国の刑務所や少年院を巡回しています。
被害者にとって加害者の存在は受け入れがたいもの。
それでも、活動目的のひとつである再発防止の観点から、命が守られる社会にという思いで
刑務所や少年院での生命のメッセージ展の開催を決意されたそうです。
いのちのミュージアム YouTube公式チャンネル
特定非営利活動法人 いのちのミュージアム YouTube公式チャンネルより。
痛ましい事件、活動の軌跡、いのちのミュージアムの様子が、遺族の思いとともに丁寧に紹介されています。
いのちのミュージアム概要
団体名 | 特定非営利活動法人いのちのミュージアム |
代表理事 | 鈴木共子 |
住所 | 〒191-0033 東京都日野市百草999 日野市立百草台コミュニティセンター3階 |
URL | https://inochi-museum.or.jp/ |