最近、お墓を作らない供養の方法を選択する人が増えています。
お墓をなくす「墓じまい」や、新しい供養のスタイルとして「樹木葬」「海洋散骨」など、耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。
お墓がある良さも沢山あるのですが、一方で、維持管理にコストや手間がかかる…といった悩みもあります。
少子化や核家族化などにより、お墓を守ってゆく人がいなくなれば、将来的にに無縁墓として処分されてしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、多様化する供養の方法についてご紹介したいと思います。
遺骨を埋葬するうえでの法律
埋葬に関する法律は「墓地、埋葬等に関する法律」によって定められています。
この法律には、火葬、埋葬、墓地など、様々な事柄について詳しく書かれています。
埋葬法とは(墓地、埋葬等に関する法律)
墓地、納骨堂または火葬場の管理および埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的として、昭和23年(1948年)に制定された日本の法律である。
その中でも遺骨の埋葬に関わる大事な部分が、遺骨は、埋葬できる場所が墓地のみに制限されていることです。
第1章 第4条 埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
つまり、例え遺族の強い希望があっても、許可なく自宅の庭などに埋葬することはできないのです。
新しい供養の形
寿樹葬
日本で樹木葬を最初に行ったのは、手県一関市にある臨済宗大慈山祥雲寺だと言われています。
その名の通り、樹の下に埋葬されます。
「この世を去ったら、自然に囲まれた場所で過ごしたい」という思いを叶えられる良さがあります。
一方で、合祀(複数の遺骨をまとめて埋葬する)スタイルの場合、後々遺骨を取り出せないといったケースや
埋葬場所が郊外になるのでアクセスが不便といったデメリットもあります。
海洋散骨
海洋散骨は、故人の遺骨を海に撒くスタイルの埋葬です。
「海が好きだった、思い出の地に帰りたい。」という思いを叶えられる良さがあります。
故人が好きだったお酒を、一緒に撒くことなども可能です。
一方で、埋葬には、自然に配慮するため、故人やペットの遺骨をパウダー化(細かな粒子状にすること)することが必要です。
そのため、ご遺骨を砕くことに心理的な抵抗がない方に限られるというデメリットがあります。
永代供養

永代供養とは、様々な事情でお墓参りができない遺族に代わり、寺院や施設管理者が供養・管理をしてくれるシステムのことです。
供養や管理を任せられるため、維持管理の負担が軽くなるという良さがあります。
一方で、個別に遺骨が安置される期間が決まっているので、一定期間を過ぎると合祀され遺骨を取り出せなくなるというデメリットもあります。
納骨堂

納骨堂は、遺骨を骨壺に入れて安置しておく場所です。
屋内にたくさんの納骨スペースが並ぶスタイルが一般的ですが、全国に様々な納骨堂があります。
宗教にとらわれずに納骨できる施設や、寺院併設の場合は葬儀や法要まで行える場合も。
アクセスの良い場所にあり、季節や天候を気にせずお参りができるなどの、良さがあります。
一方で、お供え物が制限されていたり、一定期間が過ぎると合祀されるなどのデメリットがあります。
宇宙葬

故人の遺骨などをカプセルなどに納めてロケット等に載せ、宇宙空間に打ち上げるスタイルの埋葬です。
最初の宇宙葬は 1992 年に行われ、NASAスペースシャトルコロンビアが、遺灰のサンプルを宇宙に運び、地球に持ち帰りました。
「一度でいいから、宇宙へ行ってみたい」という生前の夢を叶えられる良さがあります。
現在、人工衛星自体は年間100基以上打ち上げがあるほど身近で、宇宙葬を扱う企業も多くあります。
一方で、打上スケジュールが希望と合わなかったり、まだ新しいサービスのため信頼できる企業探しや、周囲の理解が得られにくいなどのデメリットもあります。
手元供養

手元供養は、自宅に遺骨を保管し供養する方法です。
遺骨は他の場所に埋葬し、一部を自宅供養のために持ち帰るケースもあります。
ちなみに、遺骨を「埋葬」する場合には法律の制限がありますが、「保管」することは法律違反には当たりません。
費用を最小限にできる、お参りに出かける必要がない、いつも身近に故人を感じられるなどの良さがあります。
一方で、湿気がある場所での自宅保管だと遺骨が痛む、供養していた人が亡くなった場合に行き先が不透明などのデメリットもあります。
まとめ
- 少子化や核家族化などにより、お墓を作らない供養の方法を選択する人が増えています。
- 寿樹葬、海洋散骨、永代供養、納骨堂、宇宙葬、手元供養など新しいスタイルが広がっています。
これからの家族の在り方が徐々に変わっていくであろう時代に、今後も様々な供養の方法が増えていくことが予想されます。
ただ、どんな供養の方法であっても、故人や遺族の希望を尊重するという根っこの思いは、変わらないようにも感じられます。