ペットロスとは
ペットロスとは、大切なペットとの別れ、そしてペットを失うことに対する様々な反応のことを言います。
ペットロスは病気や珍しいことではなく、飼い主であれば、誰でも経験する出来事です。しかし、その症状は、ひとりひとり違います。
飼い主を取り巻く環境、これまでペットを育ててきた過去、ペットとの関係性、生活環境、亡くなり方やそのタイミング、死生観などが影響するためです。
そのため、ペットと一緒に暮らしてきた同じ家族であっても、受け取り方は、一人一人違います。
また、ペットロスはお別れから始まりません。
闘病中や年老いたペットを目の前にして不安がつのり、余命宣告を受けるなどして、心身の不調をきたすこともあります。(予期悲嘆)
ペットロスの症状
大切なペットとの別れは、心や身体に、様々な影響を及ぼします。
ペットロスで大切なことは、どのような感情が湧き上がったとしても、それは自然なことであると、認めることです。
こころの反応
- ショック、感情の麻痺
- 絶望感、孤独感、無気力
- 抑うつ、不安
- 後悔、罪悪感、自責の念
- 怒り、憎しみ、希死念慮
からだの反応
- 号泣、涙もろくなる
- 睡眠障害、摂食障害、記憶力の低下
- 疲労感、脱力感、ぼんやりする、ため息
- 頭痛、めまい、動悸、胸の痛み、胃の痛み、関節痛
- 過呼吸、パニック、幻聴幻覚
ペットロスの悲しみを深くするもの

ペットのために悲しむ時間の制限
ペットロスに向き合うことを難しくさせていることのひとつは、悲しむ時間が制限されていることです。
愛するペットの死に向き合うために、仕事の休暇を取れるケースがほとんどないからです。
そのため、まずは悲しみの時間を取るということが、とても重要になります。
ペットを失った後に残る大きな空白の時間
さらに、ペットを失うと、私たちの生活に大きな空白が残る可能性があります。
あらゆる生活のシーンで、これまで当たり前にいたはずのペットの不在を感じてしまいます。
それは私たちの日常生活を大きく変え、悲しみを深くします。
ペットに日々の生活をゆだねられていた飼い主としての責任感
飼い主であるという立場は、ペットの日々の生活をゆだねられていたと、より強く責任を感じることがあります。
「私がもっと注意を払っていれば」でも、それはあなたの責任ではありません。
ペットの命を奪った事故や病気の罪悪感を自分に負わせることは、あなたの傷を深くしてしまいます。
周囲から掛けられる配慮のない言葉
ペットは、昔と異なり、今や家族として一緒に過ごされている方がほとんどです、まるでわが子のような感情を抱いて暮らすことも不思議ではありません。
しかし、中には「新しいペットを飼えば」「いつまでも悲しんでいては成仏できない」などと、傷つける言葉を掛ける人もいます。
あなたを傷つける、全ての人やものから距離を置くことは、あなたの心を守るために必要な対策です。
今はとにかく、あなた自身の心に、優しく寄り添うことが大切です。
あなたには、何百万人もの、同じように愛するペットを亡くした気持ちに共感できる飼い主の仲間がいます。
ペットロスを受け入れるために大切なこと

悲しみに気づく、受け入れる
ペットを失って悲しんでいる自分に気づく、受け入れるということは、想像以上に難しいことです。
日々の悲しいニュースのなかで、失われた命の報道を見て、「私の悲しみなんて」「早く立ち直らなきゃ」と
知らず知らずのうちに自分を追い立てて、悲しむ自分の気持ちを否定してしまうことも少なくないからです。
ペットに惜しみなく愛情を注げる、愛情深く、繊細な人だからこそ、自分自身の気持ちを押し込めてしまいがち。
「あの子のいない毎日が辛くて仕方がない」「もう何も手につかない」
そんな気持ちに気づき、「いま私はこんなに辛いんだ」「何もできない私でいい」と受け入れる。
悲しみに気づく、受け入れる、それが最初の一歩で、とても大切なことです。
涙を流すことを我慢しない、悲しみに向き合う
ペットが亡くなったとき、自分の気持ちを抑えて我慢してしまうことがあります。
そうすると、心にフタをして閉じ込められたままの感情が、行き場を失い、身体に支障が生じてしまうこともあります。
あるいは、悲しみに向き合うタイミングを逃してしまうと、何年も経ってから、心の不調を引き起こすこともあります。
どれだけ泣いても、大丈夫です。気持ちを吐き出せる人は、それを我慢しないことが、あなたの助けになります。
お別れの儀式、供養を行う
人間であれば、初七日、1周忌、3周忌などの法要を営むこともあるでしょう。
これらは、大切な人を亡くした人や遺族が、その人自身で、自分の心と向き合い、その後の人生を生きていくための心の取り組みのひとつでもあります。
ペットも同じです。もう動かない、冷たい身体に触れる、抱きしめる、声を掛けてあげる、好きなものをお供えする、祈る・・・
旅立つ儀式のひとつひとつは、旅立つもののためでもあり、同時に、残されたもののためでもあるのです。
同じように、ペットのお別れの儀式、そして供養の時間を持つことは、心と向き合う大事な時間になります。
ペットロスの集い、自助グループ活動に参加してみる
ペットロスで辛いことの一つに、周囲から掛けられる心無い言葉で傷つくことがあるかもしれません。
「誰も私の気持ちを分かってくれない」そんな気持ちになることもあるでしょう。
そんな時に、近しい境遇でペットを亡くした者同士で集い、語らう時間が支えになるのは
分かち合う会話の中で、あなたが胸に抱えた思いと同じ気持ちが、参加者よって語られることに気づくからです。
自助グループに参加した人の中には「一人じゃなかった」そんな風に感じた、という人もいます。
同じように愛するペットを亡くし、近い境遇の者同士で話せる自助グループは、心が少し楽になる手段のひとつかもしれません。
医療の力に頼るという選択肢を持っておく
大切な人を亡くした後、身体の免疫力が低下することがよく起こります。
免疫力(人間が自分の身体を守るために備わっている仕組み)が低下し続けると、様々な不調を引き起こしやすくなるのです。
一時的にメンタルクリニック等で薬を処方していただくことも、体力を落としすぎないために必要な場合があります。
まとめ
ペットロスについて正しい知識を持つことで、ゆっくりと悲しみに向き合う時間を持つことができます。
ポイント
- どのような感情が湧き上がったとしても、それは自然なこと
- 涙を流すことを我慢しない、悲しみに向き合う
- お別れの儀式、供養を行う
- ペットロスの集い、自助グループ活動に参加してみる
- 医療の力に頼るという選択肢を持っておく
時間をかけて、悲しみに向き合うことで、ペットたちが残してくれた愛情や思い出を
あたたかい気持ちで振り返ることも、できるようになるのではないでしょうか。