心理学

傷ついた心を癒すさまざまな治療法

2021年7月2日

こころの治療法には、さまざまな方法があります。

専門家の助けを借りながら、適切な支援を受けることが大切です。

ここでは、よく用いられるこころの治療法について、ご紹介します。

精神分析療法

精神科医のジークムント・フロイトが創始した心理療法です。

無意識の意識化がテーマなので、自由連想法、夢分析、抵抗分析などを使用したセッションが行われます。

強い精神力を持ち、日常生活を送りながらも、何かすっきりしない思いを抱える人に有効と言われています。

現在の日本では、1週間に1回、45分から50分の時間をとって対面式で面接をするのが最も一般的なやり方です。

精神を分析するというと、セラピストがクライエントのこころを一方的に分析するというイメージがありますが、実際にはクライエントが自分のこころに率直に向き合ってそれをことばにするという作業にセラピストが同行する、というイメージの方が近いと思われます。

対象となるのは従来の神経症(最近は不安障害・解離性障害・表現性障害などとよばれますが…)や対人関係の問題を抱えた方が中心です。症状というものが面接を受ける方の今までの生き方と密接に結びついている、という考えのもとに面接が進められますので、ある程度の時間と手間がかかります。

根気よく自分に向き合ってみようという方にお勧めします。

一般社団法人日本臨床心理士会 公式サイトより

認知行動療法

精神科医のアーロン・ベックが提唱した心理療法です。

人のこころを悩ますものは、出来事そのものではなく、出来事に対する考え方だという思想に基づいています。

そのため、ある出来事に対して、その時に浮かんだ考え・イメージ(自動思考)の思考のクセに気づくことで、思い込みを見直すことができる心理療法です。

よく使われる技法には、たとえば「認知再構成法(ネガティブな考え方を自分で修正するための方法)」や「リラクセーション法(心身の過緊張をセルフコントロールするための方法)」などがあります。

面接は、セラピストとクライエントの「協同作業」として進められます。したがってセラピストは話を聴くだけではなく、様々な説明や提案をしますし、クライエントもただ話をするだけではなく、さまざまな観察や練習をします。つまり、積極的に問題解決を図っていく療法なのです。

認知行動療法は、うつや不安などに効果があることが、諸研究によって確かめられている心理療法です。
とくに心理的な問題の再発予防効果が高いことが知られています。

一般社団法人日本臨床心理士会 公式サイトより

箱庭療法

Wikipediaより

小児科医のマーガレット・ローエンフェルトによって創始され、スイスのドラ・カルフがユング心理学の考え方を取り入れながら発展させた心理療法です。

箱庭療法(Sandplay Therapy)は、砂の入った箱の中に、たくさんのおもちゃ(人、アニマル、植物、乗り物、建物などのミニチュア)の中から好きなものを置き、自由に何かを表現したり、​遊ぶことを通して行う心理療法です。 

「自分の本当の気持ちに気付くのが苦手」「自分の気持ちを表現するのが苦手」という人に、有効と言われています。

通常、箱庭療法だけを独立して行うことはなく、言語的面接や遊戯療法のなかで、適宜用いられる方法です。
この療法では、砂やミニチュア玩具のイメージを活用してアイデアを広げ、上手下手ではなく、具体的な現実生活に近い表現から抽象的な非現実的な表現まで可能です。よって、言葉にならない葛藤、イメージを表現しやすいのです。

また、意識していることだけでなく、気がついていなかった自分の心身の状態や動きが直接的に感じられ、自分の心の中との対話・対決へと通じ、自己理解と人格的変容が促されます。

子どもから高齢者まで、自己啓発の目的から神経症、心身症、パーソナリティ障害などにみられる心理的課題まで、幅広く用いられていますが、実施については、クライエントとセラピストと相談しながら進めます。

一般社団法人日本臨床心理士会 公式サイトより

EMDR:眼球運動による脱感作と再処理法

臨床心理学者フランシーヌ・シャピロが発表した心理療法です。

レム睡眠とノンレム睡眠という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。

レム睡眠中は目がぴくぴく活発に動き、記憶の整理や定着が行われています。

これを急速眼球運動(Rapid Eye Movement)と言い、EMDRはその状態を模しています。

EMDRは眼球運動によって脳を刺激し、トラウマ記憶とその悪影響を取り除く心理療法です。

これにより、その記憶を、苦痛を伴わないものとして保持することができると言われています。

トラウマについて、映像、否定的な自己評価、置き換わるべき肯定的な自己評価、その妥当性、映像と否定的な自己評価に焦点を当てた際の感情、その強さ、身体感覚を同定します。これらを意識しながら、25往復程度の素早くリズミカルな眼球運動(もしくは両側性の刺激)を導きます。

報告されたクライエントの気づきに焦点を当てて次の刺激を加えるという形で、自然な連想の流れが十分に肯定的な連想の終わりにいたるまで続けます。

EMDRによって、否定的な題材が脳内にもともと貯蔵されている肯定的なネットワークと連結がなされることで、自身のより肯定的で機能している部分を使える状態となるのです。

一般社団法人日本臨床心理士会 公式サイトより

家族システム療法

家族システム療法は、欧米を中心に発展してきた心理療法です。

その学派はさまざまですが、家族を、それぞれがお互いに影響を与えあうひとつのシステムとして考えます。

つまり、個人は複雑に絡み合った人間関係の一部であり、その人の考え方や行動を作っているのは関係性である、ということです。

人に症状や問題行動が見られると、その人の家族は、どうしてやったらよいかと思いをめぐらし、いろいろ試みるでしょう。子どものことであれば両親の心配は大きいでしょうし、兄弟もよく見ているものです。

家族療法は、ご本人とともに、そのような家族の方たちの相談にものりながら、家族ぐるみで、適切な対処法を工夫することによって、症状や問題行動の解決を図ろうという方法です。

日本には1984年頃紹介された比較的新しい方法で、まま見られる家族を問題の原因とみる方法とは異なっています。不登校や引きこもり、食の問題、性格上の問題、非行等々広い問題に適用され、成果を収めています。

一般社団法人日本臨床心理士会 公式サイトより

動物介在療法(アニマルセラピー)

動物介助療法(アニマルセラピー)には、医療従事者が治療の補助として用いる動物介在療法と、動物とのふれあいを通じた生活の質の向上を目的とする動物介在活動があります。

動物たちとの関りは「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンを増加させる効果がある、という研究が多数あります。

大好きなペットと暮らすことで「癒される」という気持ちは、広く知られているのではないでしょうか。

動物介在療法(Animal-assisted therapy, 以下AAT)は、一般的には伴侶動物(主に犬、馬など)の力を借りて人の精神的あるいは肉体的な健康状態を向上させるために実施される補完医療の一種です。

その最終的な目標は機能回復を通じて対象者の社会性を高めることにあります。また、その過程で人と動物のより良い共生関係が構築されることが期待されています。

AATに用いられる動物種には、世界的には上記の動物のほかにも飼い慣らされた山羊などの家畜やイルカなどの海洋動物が対象になることもあります。

特定非営利活動法人 動物介在教育・療法学会

薬物療法

薬物療法は、精神科医ジャン・ドレーが抗精神病薬として有効な薬剤を発見したことが最初の一歩でした。

薬物療法は、不安や気分の落ち込みなどの症状を軽減するために行われます。

薬物を処方しても、原因となる心理的な問題が直接解消されるわけではありませんが

症状を抑え、問題に対処したり、生活を送る上でプラスに働きます。

向精神薬の薬剤料の推移等について/保険局調査課

まとめ

こころの健康のために、精神科医や、心理職など、治療に関わるさまざまな専門職の助けを借りることができます。

治療法は他にも多数あり、専門家に相談しながら、適切な支援を受けることが大切です。

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