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WHOによる映画、舞台、映像などコンテンツ制作者向けの「自殺予防指針」

2020年12月29日

世界保健機関(WHO)は、世界の自殺を少しでも食い止めるために、自殺予防指針を発信しています。

自殺は、世界の15〜29歳の死因の第2位

世界保健機関(WHO)の世界統計によると、毎年、自殺により40万人に1人の割合で約80万人が死亡しています。 中でも、自殺が若者の死因の主な原因のひとであることは世界的に問題になっています。

WHO メンタルヘルス 自殺データ

世界保健機関(WHO)は、若者の自殺を少しでも食い止めようと、映画制作者や舞台・映像関係者(テレビやネット動画など)向けに自殺予防指針「 自殺対策を推進するために映画制作者と舞台・映像関係者に知ってもらいたい基礎知識 (英語版日本語版)」を策定・公開しています。日本語版は2020年に公開されました。

メディアニュースのレポートと同様に、テレビ、映画館、またはオンラインでの自殺の描写は、模倣効果をもたらす可能性があります。さらに、自殺の描写が現実を正確に表していない場合、自殺の性質に対する世間の誤解に寄与し、神話を育み、効果的な自殺予防を妨げる可能性があります。しかしながら、自殺危機を克服することに焦点を当てた描写は、視聴者の自殺リスクを減らすことができます。

WHO自殺予防指針

ドラマ放送後に10代の自殺率3割増、Netflixが自殺シーン削除

自殺予防指針策定の契機になったのは、動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)が2017年に公開したドラマ「13 Reasons Why(13の理由)」の自殺シーンです。米国で最初のシーズン公開後1か月で、10代の自殺率が3割増加し、大きな社会問題となりました。

メンタルヘルスの専門家から批判を受け、リリースから2年経過後に削除されました。

NetflixはTwitterで「 アメリカ自殺予防財団の最高医療責任者であるクリスティーン・ムーティエ博士を含む医療専門家の助言に基づき、私たちはクリエーターのブライアン・ヨーキーとプロデューサーと共に、ハンナの自殺シーンを編集することに決めました。 」と表明しています。

米国自殺予防財団(AFSP) https://afsp.org/about-afsp/christine-moutier-m-d/

ウェルテル効果とは

このNetflixの事例をはじめとする、メディアに起因する自殺リスクをウェルテル効果と呼びます。自殺報道により自殺リスクのある人たちに自殺の模倣が起こり自殺者が増える現象です。

ウェルテル効果とは

1774年にヨーロッパでベストセラーになった小説「若きウェルテルの悩み」。青年ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋をし、叶わぬ思いに絶望して自殺するストーリー。主人公ウェルテルを真似て自殺する者が急増するなどの社会現象を巻き起こした。以降、メディアによる報道に影響されて自殺者が増える事象を指す。

日本でも有名人の自殺報道の直後に自殺者数が増えるなど、ウェルテル効果とみられる現象が発生していることが確認されてます。

自殺を美化しないのはもちろんのこと、一方で、亡くなられた方を責めない、そういった配慮も必要になります。

WHO作成の自殺防止指針の日本語版が2020年1月に公開

WHOの自殺防止指針の日本語訳は、自殺総合対策推進センターの方が担当されていました。いくつかのメディアで取り上げられ、Twitter上でも #自殺シーン がトレンド入りするなど、注目を集めました。

自殺対策を推進するために映画制作者および舞台・映像関係者にできること

  1. 困難な状況に屈しないことやそうした状況から立ち直る力(レジリエンス)、ま た効果的な問題対処の方法を示している人物や物語を取り入れること
  2. 支援サービスから援助を受ける方法の概要を示すこと
  3. 友人や家族などからの支援は重要な価値があることを示すこと
  4. 自殺の行為や手段に関する描写を避けること
  5. 現実に基づいてストーリーを展開させること
  6. 自殺の兆候となり得るものと、兆候にいかに対処すべきかを含めること
  7. 自殺の背景にある複雑な要因と広範な問題を示すこと
  8. 適切な言葉を用いること
  9. 自殺対策とコミュニケーションの専門家、精神保健の専門家、自殺関連の実体験 者の助言を受けること
  10. 映画、テレビ番組、ストリーミング動画、演劇の開始前に注意喚起・警告のメッ セージを挿入する必要性があるかよく考えること
  11. 自殺の描写が舞台や映画制作に関わる者に与える影響を考慮すること
  12. 18 歳未満の鑑賞者を対象とする作品では、保護者向けガイダンスを提供すること

ポイント

特に「自殺の手段に関する描写を避ける」ことは、メディア関係者でなくてもできる自殺予防のひとつです。

本人がどのような手段で亡くなったのか、その状況を周囲に明らかにしないという配慮は、自殺を防ぐことにつながります。

パパゲーノ効果とは

ウェルテル効果と対比されて登場するパパゲーノ効果は、人々が課題やストレスに上手く対処できるようになり、自殺に頼らないようにすることができる保護機能です。

パパゲーノ効果とは

オペラ魔笛のパパゲーノは恋に焦がれて自殺しようとしたが、3人の少年が現れて、土壇場で死ぬことの代替案を思い出させ、自殺を思いとどまる。以降、メディアの報道により生きる望みを持ち、自殺を防ぐことができる効果を指す。

例えば、自殺を考えていた人が、色々な人たちの助けを借りて、前向きに生きていこうと決めたストーリーを広めることは、自殺のリスクがある多くの人に役立ちます。

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